ビジネスの環境が変化しています。ITが社会の常識となり、SOHOも認知された。また、起業化を促すために、ベンチャーを支援する法律なども整ってきた。そんな中、8月1日より会社でも組合でもない「新しい組織形態」がスタートする事をご存知でしょうか。その名を有限責任組合(LLP)と言い、現在、様々な方面から注目されている組織形態です。
LLPとは、民法上の「任意組合」と、「株式会社」のそれぞれの長所を取り入れた、「民法組合契約制度」下で運営される組織体です。会社でもなく、組合でもない新しいこの事業形態・LLPは、日本にはありませんでした。しかし、アメリカには有限責任会社(LLC)、イギリスには有限責任組合(LLP)があり、それぞれ、これらの制度を利用して、盛んに企業同士(専門的人材)のジョイントなどに活用してきました。中でも米国では、この10年間にLLCによって80万社が起業し、新たなビジネスを展開してきました。スピルバーグ監督が率いるCGアニメ会社の「ドリームワークス」もその一つです。
さて、新たに創設されるLLPには、どんな利点があるのでしょうか。LLPには3つの特徴があると言われています。1.有限責任制、2.内部自治原則、3.構成員課税制度がそれです。簡単に、これらを説明すると、「有限責任制」とは、従来と違い出資者が株式会社同様に出資範囲で責任を持つ事を意味します。従来の民法組合では、無限責任となっていました。次に「内部自治原則」とは、出資者自らが経営を行うので、組織内部の取り決めを自由に決める事が出来ます。
例えば、出資額が少なくても、成功すれば報酬を高くするなど経営の「自由度」が高いのが特徴です。最後に、「構成員課税制度」とは、組織体としてのLLPには課税せず、出資者に直接課税されます。従って、LLPには法人税の負担がありません。また、株式会社のように、株主総会や取締役会を開催する必要がなく、監査機関の設置も強制ではありません。従って、迅速な事業運営が可能になります。LLPとは、新時代の企業(組織)形態なのです。
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