先日、とあるガソリンスタンドに立ち寄ったときトイレを借りました。するとトイレのドアに「東日本大震災に伴う節電のため照明を消しております、ご了承ください。」と貼り紙が。取り組みとしては確かに聞こえは良いですが、果たして本当に意味があるのか?疑問に思いました。コンビニでもスーパーでも、夜間の照明を消しているところが多く見受けられますが、あれも現時点で何の効果があるのでしょうか。
ビジネスブレークスルー大学学長・大前 研一氏によると、最も重要なのは節電ではなく、ピーク時の電力使用量を減らすことだといいます。東京電力管内の夏場ピーク時の電力需要は6,000万kw/h。某節電担当大臣は自動販売機がどうとかパチンコ屋がどうとか申していますが、我々一般庶民にとって本当に意味のある節電とは「いつ、どんな状態のときに、何の電源を切ることなのか」を一度はっきり説明する必要があると思います。
ちなみに日本の電力需要がピークに達するのは、毎年、甲子園大会が行われる時期の午後3時ごろ。人口の20%以上を占める高齢者が、冷房の効いた部屋で一斉にテレビを見るからです(しかも高齢化が破竹の勢いで進む日本では年々このピークが大きくなっている)。この時間帯の電力使用量をいかにして減らすか、そこに焦点を絞った対応が求められます。
大前氏はこうも言っています。「何度も言うが、必要なのは節電ではなく、ピーク時の電力使用を抑えること。(たとえ夏場であっても)寝苦しければ消費電力が少ない夜中に冷房を少しつけたって構わない。そこを勘違いしてはいけない。」勘違いによる過度の自粛や節電で日本が自らの首を絞めてしまわないためにも、政府にはよりはっきりとした方向性を示してほしいところ。せめてトイレで用を足すときぐらいは、ちゃんとした明りの中で、余計なストレスとは無縁でいたいものです。(N)
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