早いものでもう2月。そして2月4日は立春でした。「春とは名ばかり」とは、天気予報の常套句ですが、今年もその言葉がぴったりな“寒い春”になっています。そんな暦に対し、「名ばかりならば、日本人の季節感にあわせた、新しい暦をつくろうじゃないか」という取り組みが動き出しています。立春、春分、夏至など、いわゆる「二十四節気(にじゅうしせっき)」の言葉は、元々は中国由来。それを、日本向けにアレンジした「“日本版”二十四節気」を開発する取り組みです。
この取り組みを始めたのは、テレビやラジオの天気予報でもお馴染みの日本気象協会。二十四節気の中には難しい言葉や馴染みのない言葉があること、また、発祥の地・中国と、使われている場所・日本の気候が違い、実際の季節とズレが生じていることに疑問を抱き、プロジェクトを立ち上げたそうです。
二十四節気に関する認知度調査を行ったところ、立春・立秋や冬至・夏至といった言葉はよく知られているのですが、小満や芒種などは、なんと認知度が10%以下という結果だったとか。小満、芒種、私は初めて聞きました。小満(しょうまん)は5月21日頃で、「すべてのものが次第にのびて天地に満ち始める頃」という意味。芒種(ぼうしゅ)は「麦類の刈り取りを行い、稲の苗を植える頃」を意味し、6月5日頃の時期を指すのだとか。どちらもとても美しい言葉ですが、全く知らないまま今日まで暮らしてきました。
冒頭で紹介した「立春」も、中国では気温が上がり始めている頃ですが、日本では1年で最も気温が低い頃。こうして見ると、確かに二十四節気は馴染みのない言葉が多く、日本の季節感とズレがあることも分かります。ズレながらも愛されて使われてきた背景には、例えば、寒い季節にいつか必ず来る春を待ち望む気持ちがあるのでは?寒いからこそ暦で春を先取りしようとする、そんなズレを愛するなんて、実に日本人らしい感覚ではないですか!そう考えると敢えて新しいものをつくらなくてもいいのでは、と思ってしまいますが…。
新・二十四節気については、公募などにより一般の方々の意見を取り入れながら検討を重ねていき、来年度中には完成版を発表したいとのこと。ひょっとしたらあなたの考えた季節の言葉がカレンダーに載る可能性もあるかもしれません。(N)
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