2月29日に竣工した東京スカイツリー。地上634m、世界一の高さを誇るこの電波塔を建設した大手総合建設会社・大林組が、今度は宇宙へ目を向けました。『エレベーターに乗って地上と宇宙を行ったり来たりできるようにする』というのです。ちなみにこの大林組、スカイツリーの他にもユニバーサルスタジオジャパンや阪神甲子園球場、明石海峡大橋など、数々の実績を持っています。
宇宙エレベーターは地球物理学や海洋土木など、大林組の多彩な分野の技術者・専門家が知識を結集して計画。月までの距離の約4分の1にあたる9万6000kmで、根元を地上の発着場に固定します。宇宙エレベーターの発着点となるのは海に浮かぶ基地「アースポート」。ここから鋼鉄の20倍の強度を持つ炭素繊維「カーボンナノチューブ」のケーブルを伝い、30人乗りの「クライマー」と呼ばれる昇降機械が人や物資を乗せ、時速200kmで片道7日半をかけ宇宙へ上昇するという代物です。
実現可能かは別にしても様々なメリットが考えられます。放射性廃棄物を宇宙に捨てられる、宇宙に発電設備を作ることができる、大気圏を出たところ(つまり宇宙)で宇宙船を造船できる、宇宙開発資材運搬コストを大幅に軽減できる、等々。そしてその開発の先陣を日本が切れば、とてつもない規模の経済効果が見込めるでしょう。思えば新幹線事業も、開発当初は無謀な計画として世界から嘲笑の的にされました。ところが現在、新幹線の技術は世界中が欲しがるものになっています。日本には不可能を可能にする力があるのです。
こうした発表をNASAやJAXAといった専門的な施設でなく、民間の一企業が行ったことに凄みと現実味を感じます。大林組のCSR室副部長・勝山氏も「絵空事とは思っていません。既存の理論と技術の発展の先にあるものとして、宇宙エレベーターを捉えています」と断言。国家を挙げてでもバックアップする価値のあるこのプロジェクト。夢は大空を飛び越えて果てなき宇宙へ・・・ですが、今の日本のトップは、地上どころか泥の下に棲む「ドジョウ」総理なんですよね・・・。(N)
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