心学研究家の小林正観さんは、20代後半から30代にかけての独身女性からよくこんな質問を受けてきたそうです。「自分は独身主義者でもないし、結婚したくないわけでもない。むしろ結婚したい。それなのに、男性運が悪く、なかなか良縁に恵まれない。どうしたらよいか」というものです。それに対する小林さんの答えはいつも同じでした。まずその女性にこう尋ねます。「男性に食事に誘われたことがありますか?」
もちろん20代後半から30代の独身女性であれば、そういう経験がないという人の方が珍しい。すべての人が「はい」でした。次にこう質問します。「食事のあと、男性が2人分の食事代を払おうとしたとき『自分の分は自分で払います』と主張しませんでしたか?」
すると、多くの人が「えっ」と小さく叫んだそうです。「だって、おごってもらう理由がありません」というのが、ほぼ全員の答えでした。「理由がないといけないのですね。おごってもらうと『借り』をつくったような感じになるのではありませんか?」と問うと、「全くそのとおりです。理由もなくおごってもらったら、何となく『借り』ができてしまって、そのあと重苦しくなるではないですか」というのが、”良縁に恵まれない人”全てに、共通する答えでした。「そこを、これからちょっと変えることにしませんか。どう変えるかというと、2人分を出したい人には素直に出してもらう」、すると女性側は「それでは『借り』をそのまま背負い続けることになります」と、ほとんどの人が反論します。
そこで小林さんはこう言います。「出してもらったうえで、外に出てから、本当に、心から、『ありがとう』と言うのです。それで貸し借りなし、『ありがとう』という言葉にはすごい力が潜んでいて、その言葉を耳にした人は、細胞が活性化して、すごく元気になり、若々しくなり、体が軽くなるんです。心を込めた『ありがとう』は、この世の力とは思えぬほど、相手を幸せな気持ちにします」と。(N)
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