はなしのたね。2017.vol.17
1:「コンコルドの誤謬」のはなし。
 コンコルドはイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機です。速さを追求した美しいフォルムで、2003年に退役した後も根強いファンがいる航空機です。ところがこのコンコルド、商業的には大失敗に終わっています。
 理由はとにかくコストパフォーマンスが悪いこと。燃料をとんでもなく消費するため、まずもって飛行距離が短い!大西洋は跳び越せても、途中の給油なしでは太平洋を越えられず、西ヨーロッパやアメリカ本土から日本や香港といった極東への無着陸直行便が出せませんでした。さらに乗客の定員はわずか100名。さらにさらにその運賃はファーストクラスの20%増しと超高額!利用できる人は非常に限られていました。コスト面の他にも、滑走距離が通常より必要なこと、騒音やソニックブームの影響で限られた航路にしか就航できなかったこと、超音速での飛行は海上でしか認められない国があったことなど、まあとにかく一般化するには尋常でない数の弊害があったのです。
 と、ここで察しの良い方はこう思うでしょう。「え?そんなの最初から分かってたんじゃないの?」―――その通り、コンコルドは開発段階で導入後の失敗は明らかだったのです。それでも開発は止まらなかった。そこにあったのが「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」という恐ろしい心理。簡単に言うと「ここまで大金突っ込んで開発してきたんだから、いまさら止められるか!」という損失回避性心理です。「誤謬」とは誤った考えや知識のことで、コンコルドはこの感情に流されてどんどん開発を進め、さらに損失が拡大してしまいました。
 人間は「つぎ込んだコストがもったいないからいまさら止められない」という意識がどうしても働きます。分かりやすいのは株の損切り。最初に決めた損切りラインに到達したのに、「ここで売ったら今までの損失を挽回できない!」という感情に流され再起不能な損失を出したりします。パチンコでも、1万円負けたところで止めればいいのに、「次の1,000円でかかって取り戻せるかも!」と言ってそのまま続け、結局2万負ける・・・誰しも似たような経験があると思います。
 つぎ込んだお金のことを「埋没原価(サンクコスト)」と言います。このサンクコストに捉われると、全体感を失い適切な意思決定ができなくなるのです。サンクコストのサンクは「sunk」で沈没という意味。コンコルドの場合は飛行機なので「墜落」原価とでも言うべきでしょうか。もし実生活で「ここで止めるか続けるか」の選択を迫られたとき、それまでに発生した損失はサンクコストと割り切ってスパッと止めることも大事です。もったいないと思うかもしれませんが、そのときのサンクは「thank(感謝)」で、「ここまでの授業料だと思って感謝するぜ!」と言えるぐらい器の大きい人間になりたいものです。ところで今もっとも「コンコルドの誤謬」を体現してしまいそうなのは某レ○ランドさん。果たしてここから超音速で客足回復!となるのでしょうか。(N)

2:「アタマの体操・シケパ(脳トレ編)」
脳を活性化しアンチエイジングに最適です。お役立て下さい。

【問題】
①「?」に入る数字は?
②「?」に入る言葉は?
③この創作漢字、何と読む?

3:ハナタネ寄席
★こんなものがあっても絶対売れないシリーズ―――『猛反発まくら』
★「NO SMOKING!」とは「横綱お断り!」という意味である。

4: 
前回の答え
①能(点の数が増えて別の漢字に 能→熊)
②水(漢字の中の色を足す)
③みちのえき