はなしのたね。2017.vol.27
1:「キログラム問題」のはなし。
 国際単位というものがあります。物体の長さや重さ、時間などは、世界中どこで測っても同じ値になることが原則です。もしそれらの定義が違ったら、それはそれは大問題が発生します。A国で1kgの物体が、また別のB国で言う2kgだったりしたらとっても困るわけです。国際単位はSIと呼ばれていて、基本単位と組立単位に分かれます。基本単位は長さのメートル(m)、質量のキログラム(kg)、時間の秒(s)、電流のアンペア(A)、熱力学温度のケルビン(K)、物質量のモル(mol)、光度のカンデラ(cd)という7つ。馴染みのないものも結構ありますね。その基本単位を組み合わせて乗法・除法の数学記号を使って表すのが組立単位。面積の平方メートル(㎡)、体積の立方メートル(?)などがありますが、今回は基本単位のお話。
 基本単位の中の、例えば「時間」の秒(s)の定義は「セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の9192631770周期の継続時間」というまったく意味が分からない内容。その他の基本単位の定義も、到底一般人には理解できないものばかり。しかしただ1つ、例外があります。それが「質量」のキログラム(kg)です。その定義は「国際キログラム原器の質量を基準とする」―――つまり「国際キログラム原器」の重さがkgの基準なわけです。とっても分かり易い、我々凡人に優しいのがkg君なのです。
 前置きが長くなりましたが、今この優しい優しいkg君の定義が揺らいでいます。kg君、実は1970年代から定義の不安定さが問題視されていました。他のSI基本単位は概念で定義されていて、安定しています。定義と概念の情報さえあればいつでも誰でも計り直せますし、情報は時間が経っても変わらないからです。対してキログラムは、先ほどの国際キログラム原器、もしくは原器の精密なコピーがないと正確なキログラムを知ることができないうえに、なんと時間の経過ともに原器の質量が(汚れの蓄積と測量方法の変更によるものとはいえ)僅かながら変化してしまっているのです。そのような事情があり、2011年にはキログラムを再定義することが決定しました。そしていよいよ2018年に新定義が採択される予定というわけです。現在最も有望視されているキログラムの新定義は、概念で定義できる電磁力がベースとなっています。ここで鍵となるのが特殊相対性理論とプランク定数。特殊相対性理論は質量とエネルギー量を結びつけ、プランク定数は電磁波の光子のエネルギー量とその周波数を結びつけます。新定義ではプランク・・・はい、もういいですね。
 というわけで定義が更新されそうなのですが、たとえ更新されたとしても日常生活に特筆すべき影響はありません。影響があるのは製薬会社や物理学者の研究所、または警察組織の鑑識といった、ものすごい精度が求められる現場です。それと・・・ダイエットに勤しんでいる女子たちでしょうか。「○キロ痩せた!」と誇らしげに言ってきた時に、新定義でなのか旧定義でなのかをちゃんと・・・問いただすのは止めておいた方が良いのかも・・・(N2)

2:「アタマの体操・シケパ(脳トレ編)」
~脳を活性化しアンチエイジングに最適です。お役立て下さい。~

【問題】
①「?」に入る漢字は何?
②これ、どこ?
③同じアルファベットに同じ文字入れ、4つの言葉にしてください

3: 
前回の答え/①十二支(英語にしたときの頭文字)、②「逸」など(1=ひとつ)、③パスタ(スパゲティ)
4:ハナタネ寄席
★受験生に「これで部屋の掃除でもして気分転換しなよ」と『激落ちくん』をプレゼントする嫌がらせ。