モンスターハンターというゲームをご存知でしょうか。ハンターになったプレイヤーが様々な場所に現れる色々な種類のドラゴンを狩る、というゲームです。という説明を聞いてこのゲームを知らない人も、ドラゴンを狩るハンターの姿は剣や槍を持った欧米人をイメージしたのではないでしょうか。日本の武士が甲冑を着て、刀でドラゴンと戦う映像を思い浮かべた人は、相当な変わり者です。
なぜそうなるか?狩猟=欧米という強烈なイメージがそうさせています。「だって日本人は農耕民族で、欧米人が狩猟民族だろ」というそこのアナタ!その認識は間違っています。「農耕民族」の対義語は「狩猟民族」ではありません。「遊牧民族」です。一つの場所に定住して農作物を栽培し生活する農耕民族に対し、家畜のための牧草を求めて季節ごとに移動を繰り返す遊牧民族―――主食が米か肉か、という部分が判断基準なわけではないのです。
そもそも考えてもみてください。狩猟だけで一つの民族が成り立つとは到底思えません。何百万何千万という民族全体の食料を、狩猟だけで賄うことは絶対に無理です。狩られる動物側が絶滅してしまいます。欧米人だってポテトやとうもろこしを一生懸命育てて立派な農耕をしていますし、日本人だって海へと漁に出て魚を狩ってきています。文明とは農耕社会の中で食料の貯蓄ができるようになり貧富の差が発生し、また作物がよく育つ肥えた土地とあまり育たない痩せた土地が発生し、それらを巡って奪い合い(戦争)が始まり・・・という流れで起こります。戦争の火種は結局は良い土地(領土)の奪い合いなので、文明の根底には農耕があると言えます。逆にいつまでも狩猟に頼っている民族があるとすれば、その民族は未だにジャングルの奥地で裸でウホウホやっているはずです。
よくスポーツ番組を観ていると解説者などが「欧米諸国は狩猟民族だったから体の造りが違う」とか「日本人は農耕民族だから積極性が足りない」とか言っていますが、あれ全部デタラメです。世界で活躍できない理由をそんなところに見出しているうちは永遠に結果は出ないでしょう。ちなみにモンスターハンターの中には、自分の畑で回復用の薬草やパワーアップ用の種を栽培するシステムがあり、そこで採れたアイテムをドラゴンとの戦いに持って行くことができます。と、いうかそうしないと強い敵は倒せません。モンスターハンターは農耕の重要性もしっかり分かっている素晴らしいゲームなのです。ふぅ・・・これが言いたかった。(N)
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