日本にはマスクマンがたくさんいます。タイガーマスク、獣神サンダー・ライガー、ザ・グレート・サスケ、ザ・デストロイヤー、ミル・マスカラス、ドス・カラス、スペル・デルフィン、スーパー・ササダンゴ・マシン―――って、プロレスの話をしたいわけではありませんでした。風邪の季節や花粉症の季節に、街に溢れるマスクをした人々の話です。
もはや誰も不思議に思わないほどに、マスクをして外出するのが日本では当たり前の風景になってしまいました。あちらこちらで老若男女問わず、み~んなマスクマスクマスク。どう考えてもその全部が風邪をひいた人なわけはないですから、マスクをするのには別の理由があるはずです。まず第一に考えられるのは「予防」。風邪をひきたくない、花粉症になりたくない、からマスクをする。まあ納得です。それ以外にありそうなのは「人と話さないで済む」。相手がマスクをしていると無意識のうちに「ああ、この人 体調が悪いんだ」という印象を持つため、余分な話はしないでおこうという心理が働きます。必要以上に人とのコミュニケーションを避けたがる現代人ならではの理由でしょう。あと女性に多いのは「素顔を見られなくて済む」。ちょっとした外出のときはわざわざ化粧なんてしたくない、でもすっぴんは見られたくない・・・そんなときにマスクの出番となるわけです。その他だと「寒さ対策」とかもあるでしょう。
海外にはこんなにも日常的にマスクをする習慣は全くありません。欧米では「マスクをつける人=瀕死の重病人」という認識ですから、マスクをして外出するなど考えられません。「空気感染するような超ヤバいウイルスを持っているのか?」と変な誤解まで与えてしまうといいます。女性の「素顔を見られたくない」というのも本来おかしい。「素顔を見られたくない」ということは自分の見てくれを気にしているということでしょう。でも「マスクをしている女性」と「していない女性」だったら誰だって後者の方がいい。マスクをしている女性の方がいい、なんていう酔狂な変態はそうそういないはずです。見てくれを気にしているはずなのに結果的に女性としての魅力を封じ込めてしまっている。そもそも男性は女性が気にするほどすっぴんが嫌いではありません。むしろ素顔の自分に自信を持って、僕の胸に飛び込んでおいで、と思っています。本来の目的を果たさない、「伊達メガネ」ならぬ「伊達マスク」が、自分の価値をおとしめていることもあるので要注意です。そしてアニメ「タイガーマスク」の主人公の名前は「伊達直人」です。(N)
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